教員にとって使いやすく、リスクも小さいAIの使い方は、授業そのものではなく、授業の周りの書く仕事を手伝わせることです。学級通信や保護者へのお知らせ、保護者への返信、職員会議や研修の記録、配布物の多言語版。伝えたいことを話せば、AIが読みやすい文章の下書きにし、それを確認してから配ります。文部科学省のガイドラインも、こうした校務での活用を有用としています。ただし、評価は教師がすること、児童生徒の個人情報や成績は許可された環境以外に入れないこと、そして教育委員会と学校のルールに従うことが前提です。
| 仕事 | すること | Retexta の目的 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 学級通信、保護者へのお知らせ | 事実を話す:何を、いつ、持ち物 | Write a message、種類 Email、文体 Warm か Friendly | スタート画面 |
| 保護者からのメールへの返信 | メールを貼り付け、返したい内容を伝える | Reply to a message | スタート画面 |
| 職員会議、学年会の記録 | 会議の直後に要点を話す | Summarize a meeting | スタート画面 |
| 長い通知文や資料の理解 | スクリーンショットかPDFで取り込む | Explain something | スタート画面 |
| 外国につながる家庭向けの翻訳 | 完成したお知らせを貼り付け、言語を選ぶ | Translate | More templates |
| 忙しい一日の後のやることリスト | 頭にあることを全部話す | Take notes、その後 Task list | More templates |
始める前に:文部科学省のガイドラインと三つの原則
文部科学省は2024年12月26日、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表しました。教職員の校務での利用について、生成AIの仕組みや特徴を理解し、出力の適切さを判断できる範囲で使うという前提で、「校務において生成 AI を積極的に利活用することは有用である」としています。活用例には、学年・学級だよりなどの「各種お便り」や通知文・案内文のたたき台、研修の録画からの要約・議事録案、保護者会や面談の日程調整が挙げられています。
そのうえで、次の点を求めています。このページでは、それを三つの原則にまとめます。
1. ルールは教育委員会と学校が決める。 ガイドラインは、教育委員会の方針に基づいて使うこと、そして「私用アカウントや教育情報セキュリティ管理者の許可を得ていない私用端末を用いてはならない」としています。Retexta は個人のスマホで使う一般向けのアプリです。校務で使えるかどうかは、まず学校と教育委員会に確認してください。
2. 個人情報と成績は入れない。 ガイドラインは、特別なセキュリティ対策を講じた環境を除き、プロンプトに成績情報などの重要性の高い情報を入力してはならないとし、個人情報を扱う場合は個人情報保護法等を守り、提供者がそれを機械学習に使うかどうかを十分に確認すべきだとしています。許可された環境でない限り、名前、成績、健康、家庭の事情は入れず、[児童][保護者]のような仮の表記で下書きし、実名は文章をアプリの外に出してから自分で入れてください。
3. 評価は教師がする。 ガイドラインは、学習評価を教師が判断せずに生成AIの出力で行うことや、教師が正確な知識に基づいてコメント・評価すべき場面でAIの出力のみに頼ることを、不適切な例に挙げています。Retexta は児童生徒の作品を評価するためのアプリではなく、私たちもその使い方はおすすめしません。
また、児童生徒との授業や会話を録音するには、学校の承認と、学校が求める保護者などの同意が必要です。安全なのは、授業の後に自分のメモを話す方法です。Retexta のプライバシーポリシーも、このアプリは子どもを対象としていないとしています。使うのは教員であって、児童生徒ではありません。
例1:遠足のお知らせ(学級通信)
次の例は、考え方を示すために私たちが作成したものです。アプリの実際の出力ではなく、結果は毎回異なります。
話した内容(Write a message、Email、Warm):
4年2組の保護者向けのお知らせ。10月15日木曜に科学館へ校外学習。
学校を8時45分にバスで出発、2時30分ごろ学校に戻る。
お弁当と水筒、ガラスの容器はだめ。
参加の同意書は10月9日金曜までに提出。費用は学校が負担。
引率のお手伝いをしてくださる方をあと2名募集、連絡帳かメールで。
やさしく、短めに。
仕上がったお知らせ:
件名:10月15日(木)科学館への校外学習のお知らせ
保護者の皆様
いつもお世話になっております。
4年2組では、10月15日(木)に科学館へ校外学習に出かけます。子どもたちも楽しみにしています。
・8:45 に学校をバスで出発し、14:30 ごろ学校に戻る予定です。
・お弁当と水筒をご用意ください(ガラスの容器はご遠慮ください)。
・費用は学校が負担いたします。
参加の同意書は、10月9日(金)までにご提出ください。
また、引率のお手伝いをしてくださる方を、あと2名募集しております。お手伝いいただける方は、連絡帳またはメールでお知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
4年2組担任 [氏名]
内容はすべて話したことから来ています。AIが加えたのは、順番、あいさつ、箇条書きです。配る前に、日付と時間を学校の計画と照らし合わせてください。
例2:心配している保護者への落ち着いた返信
保護者からのメール(Reply to a message に貼り付け、名前は仮の表記に):
いつもお世話になっております。[児童]がまた算数のテストを時間内に終えられなかったと、落ち込んで帰ってきました。これで2回目です。授業についていけているのでしょうか。とても心配です。
伝える内容(What do you want to achieve? に入力、またはキーボードのマイクで話す):
丁寧に、落ち着いて。連絡のお礼。[児童]さんはテストで丁寧に取り組むぶん時間が足りなくなることがあり、一緒に練習していけること。
火曜か水曜の放課後15時30分に短い面談を提案。テスト時間の延長は約束しない、学年で相談が必要だから。
仕上がった返信:
[保護者]様
いつもお世話になっております。ご連絡いただき、ありがとうございます。
[児童]さんが落ち込んで帰られたとのこと、ご心配をおかけしております。
[児童]さんは、テストに一問一問とても丁寧に取り組んでいます。そのぶん時間が足りなくなることがありますが、これは一緒に練習していけることだと考えております。
一度、短いお時間でお話しできればと思います。火曜日か水曜日の放課後、15:30 からはいかがでしょうか。ご都合をお知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
[氏名]
返信に入っていないものに注目してください。テスト時間の延長です。約束しないよう指示したので、文章には入っていません。自分が言っていないことが紛れ込んでいないか、必ず確認しましょう。
例3:学年会の要点から、やることの一覧へ
会議の直後に Summarize a meeting を開き、同僚の声を録音する代わりに自分で要点を話します。
4年の学年会、9月24日。個人面談は11月5日と6日。各担任は希望の時間枠を10月10日までに山田先生へ。
全クラス共通の読書記録カードを使うことに決定、木村先生が10月1日までに作る。
冬の音楽発表会を今年もやるかは未定、次回決める。
Retexta は、要約、決定事項、担当者と期限つきのアクションアイテム、未決事項の入った記録を書きます。作業の一覧の書き方はアクションアイテムの書き方、録音から議事録を作る方法はAIで議事録を自動作成する方法で紹介しています。
所見はAIに書かせてよいか
「所見 ai」で調べる先生も多いと思います。私たちの考えでは、評価は教師のもので、AIに手伝わせるとしても言い回しまでです。ガイドラインは成績情報をプロンプトに入れないよう求めているので、使えるのは学校が認めた環境で、名前も成績も入れない場合に限られます。そのうえで、すでに自分で見取ったことを言葉を選ばずに話し(「音読は滑らか、長い記述は苦手、グループ活動でよく友だちを助ける、次の目標は書く前に構成を考えること」)、わかりやすく温かい文にしてもらう、という使い方です。出来上がった文は、実際に見た姿と一文ずつ照らし合わせてください。所見の書き方について学校の決まりがあれば、それが優先です。
無料で使えるAI、教材づくりとの違い
- 無料で使えるか: まず学校や教育委員会に聞いてください。認められたAIツールが用意されていることがあります。Retexta は無料で試せます。新規ユーザーは、Pro の結果をいくつか無料でアプリ内に表示できます。コピー、共有、エクスポートと、無料の結果を使い切った後のご利用には、Retexta Pro またはクレジットが必要です。
- 教材や指導案: Retexta は、ワークシートや指導案を作るためのアプリではありません。話したこと、貼り付けたもの、取り込んだものを、お知らせ、返信、記録、要約、翻訳にするアプリです。教材づくりには専用のツールが向いています。
Retexta で学級通信を書く手順
アプリのメニューは英語なので、ボタン名は英語のまま書いています。日本語で話せば、日本語の文章になります。
- Retexta を開き、New task をタップします。
- What do you want to do? の下で Write a message をタップします。
- What kind of message? で Email を選び、文体を Warm や Friendly から選んで Next をタップします。
- Record audio をタップし、お知らせに書く内容を話します。
- 録音を止めると、Retexta がサーバーで文字起こしし、文章を書きます。
- 必要なら結果画面で文体、言語、長さを変え、読んで確認してから、コピーするかメールに共有します。
日本語以外の言語を使う家庭には、More templates の Translate で、完成したお知らせを貼り付け、50以上の言語から選んで翻訳できます。大切なお知らせは、配る前にその言語のわかる同僚や家族に読んでもらってください。AIの翻訳には誤りが含まれることがあります。詳しくは日本語で話して英語のテキストにする方法をご覧ください。
Transcript only 以外のすべての目的は Retexta Pro の機能です。結果のコピー、共有、エクスポートには Retexta Pro またはクレジットが必要です。
入力した文章の行き先
Retexta は録音とテキストをクラウドで処理します。プライバシーポリシーによると、リクエストは FLAME Apps の Google Cloud Run を経由して OpenAI などのAIプロバイダーに送られ、FLAME Apps はプロバイダー側での学習への利用に意図的にオプトインしていません。児童生徒に関わることを入力する前に、Retexta のプライバシーポリシー(英語)と学校のルールを確認してください。
あわせて読みたい
職員会議や研修の記録にはAIで議事録を自動作成する方法と議事録の書き方、会議の準備には会議のアジェンダの作り方が役に立ちます。保護者会や面談の日程を相談するメールはアポイントを依頼するメールの書き方を参考にしてください。アプリについて詳しくはRetexta、Android 向けの AI 文字起こしアプリをご覧ください。
出典
FLAME Apps が2026年9月26日に確認しました。
- 文部科学省、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)(2024年12月26日、本体PDF):校務での利活用の基本的な考え方と活用例(13から14ページ)、教育委員会の方針、私用アカウントと私用端末、成績情報、個人情報の扱い(15ページ)、不適切と考えられる例(学習評価)。
- FLAME Apps、Retexta プライバシーポリシー(英語)、7.1、7.2、16。
- Retexta:目標の名称、メッセージの種類、文体、プランの名称は、アプリ(リリース 2026.1.23、英語メニュー)と Google Play の掲載情報の表示どおり。
- 検索語:Bing のサジェスト(ja-JP、2026年9月26日)。「教員 ai」の候補に「活用」「活用事例」「おすすめ」「研修」など。
